2012年04月26日

〈各章紹介〉第5章:Nippon Invisible―日本研究・資料の現状


第5章:Nippon Invisible―日本研究・資料の現状

●概要
 第4章で見た「Google Books Ngram Viewer」の「Japan」の登場頻度グラフを、さらに最近の2008まで引き延ばして見ると、下のようになります。
4-27_Google5.png
 2008年の世界におけるニッポンの"Invisible"さが、1930年のレベルにまで大きく下がってしまっています。ちょっと背筋がぞっとするほどさがってます。かつて「ジャパン・バッシング」を受けていた日本は、次第に「ジャパン・パッシング」されるようになり、最近では「ジャパン・ナッシング」と呼ばれるまでになりました。

 第5章では、海外における日本研究、およびそれをサポートするための図書館・資料・情報のあり方について、現状と課題を考えたいと思います。海外の日本研究は退潮傾向にあると言われています。その理由のひとつとして、電子書籍・電子ジャーナルなど、デジタル資料・情報の積極的な発信や売り込みが進んでいないことが挙げられます。例えばアメリカの東アジア分野の図書館では、膨大な点数の中国・韓国製e-resourceが導入されているのに比べ、日本製のe-resourceは数も規模も限られてしまっています。また、学際化・グローバル化と呼ばれる研究のあり方の変化もあります。それらさまざまな動きや課題をどうとらえ、対応していったらよいのか、どうニーズに応えていったらいいのか、を考えてみます。

●小見出し
2008年=1930年説?
日本研究の"退潮傾向"
デジタル化されない日本
日本を学ぶのは誰か―学際化・グローバル化
「引退」ではなく「卒業」?

●参考文献
・パトリシア・G・スタインホフ. 「アメリカにおける、アメリカに属する、アメリカ発の、アメリカ経由の日本研究」. 『国際文化会館会報』. 2002, 13(2), p.1-21.
・Sharon Domier. 「日本の図書館の変容 : 国際社会へ向けた日本の図書館サービスの時代の到来 : 北米の視点から」. 『大学図書館研究』. 2004, 70, p.42-54.
 >>主に1990年代以降2000年代までの日本側の大学図書館などの在り方について、及び北米の日本図書館との関係について、経緯と変化が論じられています。<<
・パトリシア・スタインホフ. 「米国における日本研究 : 過去、現在、将来」. (2007.11.30国立国会図書館にて発表).
 http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/pdf/Prof.Steinhoff.pdf
>>主に2000年代の、アメリカにおける日本研究の現状と変化について説明されたプレゼン。発表者自身が携わった下記の調査報告『Japanese studies in the United States and Canada : continuities and opportunities』に基づくと思われるものです。<<
・『Japanese studies in the United States and Canada : continuities and opportunities』. Japan Foundation, 2007.
・Josef Kyburz. 「グローバリゼーションの渦の中に巻き込まれて : 日本文化研究のゆくえ」. 『日本文化研究の過去・現在・未来 : 新たな地平を開くために』. 国際日本文化研究センター. 2007, p.167-172.
・ヨコタ=カーター啓子. 「国際学研究としての日本学研究資料 : 世界基準の図書館情報サービス : アメリカの大学図書館からの視点」. 『情報管理』. 2008, 51(3), p.222-225.
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/3/51_222/_article/-char/ja.
・山田奨治. 「海外の日本研究は退潮傾向なのか?」. 『日文研』. 2008, 41, p.43-48.
・猪木武徳. 「正確で安定した日本理解を生む「学術外交」の重要性」. 『をちこち』. 2009, 27, p.10-17.
 http://www.wochikochi.jp/pdf/2009/02/wk27-10-17maskLight.php.
・Sharon Domier. 「北米の観点から見た日本の大学図書館の国際的諸活動」. 『図書館雑誌』. 2010.10, 104(10), p.670-671.
・マルラ俊江. 「海外の大学図書館からみた日本研究と学術デジタルコミュニケーションの課題」. 『日本語・日本学研究』. 2011, 1, p.166-188.
 http://hdl.handle.net/10108/64572.
 >>第2章で紹介したUCLAのライブラリアン・マルラ俊江さんによる論文。北米における日本研究、及びそれを支えるべき日本製・日本語のe-resourceがどのような現状にあるか、どのような課題を抱えているかが詳細に述べられています。統計、事例、注に挙げられた参考文献も豊富で、とてもわかりやすい報告です。<<
・『停滞する日米政策対話・研究と再活性化の諸方策』. 日本国際交流センター, 2011.

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2012年04月25日

〈各章紹介〉第4章:黄金の国からクール・ジャパンへ--日本研究・資料の歴史


第4章:黄金の国からクール・ジャパンへ--日本研究・資料の歴史

●概要
 次の第5章で日本研究・資料・情報の現状と課題を考えるにあたって、まずは、という感じで、この第4章では日本研究・資料・情報の”歴史”をたどってみます。マルコ・ポーロの「黄金の国・ジパング」から、21世紀のマンガ・アニメをはじめとする「クール・ジャパン」までの歴史です。
 歴史をたどるにあたって、下記のようなグラフを用意しました。
4-2_Google2.png
4-24_Google4.png
 これは「Google Books Ngram Viewer」というGoogleのサービスで、Google Booksの本文中に指定したキーワードがどのくらいの割合で登場するか、というのを出版年で折れ線グラフにしてくれる、というものです。
 ここでは「Japan」を検索してみました。上のグラフが1500年から1900年まで。下のグラフが1900年から2000年までです。 この折れ線グラフをベースに各時代ごとの日本研究・日本資料・日本情報の様子をおおまかに確認してみます。近世のケンペルやシーボルトの時代。開国後にデビューした明治ニッポンの資料・情報の流出の様子。20世紀前半・戦前・戦中と、日本へのまなざしが良くも悪くも熱くなっていく時代。戦後のアメリカでの地域研究重点政策。そして、バブル経済を迎えしばしの間だけ中国を追い抜いた日本の存在感と、その後の右肩下がりの様子、などなどです。
 そしてこの章では、それぞれの時代をあらわす資料の図版を豊富に載せていますが、それらはみな日文研所蔵の資料からとったものです。


●小見出し
 Google Booksに"Japan"はどれだけ登場するか/ジパングに行ってみた―近世/明治ニッポンの世界デビュー―19世紀後半/日本を研究するアメリカ ―20世紀前半/さらに日本を研究するアメリカ―占領期・戦後/バブル経済からマンガ・アニメの国へ―80年代から2000年代


●参考文献
・Google Books Ngram Viewer.
 http://ngrams.googlelabs.com/.
・国際日本文化研究センター図書館.
 http://www.nichibun.ac.jp/lib/.

・富田仁. 『事典外国人の見た日本』. 日外アソシエーツ, 1992.
 >>第1部では、近世から1960年までに発表・出版された、外国人(アジア・アメリカ・ヨーロッパ)による紀行・評論・研究書を約300点選び、内容の要約・解説、邦訳書の書誌などを掲載しています。第2部では各国別に日本研究の歴史を概説します。外国人による日本理解の歴史を理解できる基本的なレファレンス・ツールです。<<
・『世界の中のニッポン : 書物が語る日本像 : 展示会目録』. 国立国会図書館, 1993.
 >>国立国会図書館による展示図録です。近世・近代・現代の海外で出版された日本研究・日本関係資料の代表的なものを、簡便な解題とともに一覧することができます。各セクションの解説文とあわせて、日本研究の歴史の流れがわかります。<<
・藤津滋生. 「年表・海外における日本研究」1・2. 『日本研究』. 1994, 10(資料編), p.87-202.
 http://202.231.40.34/jpub/js/year_study_view.php?pub_year=1994&lan=JP.
 >>古代から1945年までの海外における日本研究、日本に言及した図書・文献、海外と日本との交流に関する事項が歴史年表形式でまとめられています。年表として有用なだけでなく、詳細な人名索引や膨大な参考文献リストも付されており、必携のレファレンス・ツールです。<<
・関正昭. 『日本語教育史研究序説』. スリーエーネットワーク, 1997.
・日本語教育学会. 『新版日本語教育事典』. 大修館書店, 2005.
・日本語教育国・地域別情報. 国際交流基金.
 http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/country/index.html.
 >>ほぼ全世界の国・地域について、ほぼ毎年更新されている基本情報です。日本語教育だけでなく、高等教育制度、日本研究・教育の現状、歴史的経緯などの全体像をおおまかに把握できます。<<
・『米国における日本研究』. 国際交流基金, 1989.
・和田敦彦. 『書物の日米関係 : リテラシー史に向けて』. 新曜社, 2007.
・和田敦彦. 『越境する書物 : 変容する読書環境のなかで』. 新曜社, 2011.
 >>上記2冊とも、20世紀前半から戦中・戦後、現代にいたるまでの、アメリカに渡った日本語の書籍・図書館蔵書と、それをとりまく人びと・組織・社会などについて調査したものです。各大学の日本語蔵書形成、日本語図書取扱いの歴史、日米間、本と読者の間のなかだちとなった人・組織の有り様を追跡しています。
・Peter X. Zhou. 『Collecting Asia : East Asian Libraries in North America, 1868-2008』. Association for Asian Studies, 2010.
 >>北米の25の主な図書館(主に東アジア図書館)を取り上げ、それぞれの所蔵する東アジア資料・コレクションやその歴史的経緯などを、豊富なカラー図版とともに、館ごとに概説しています。<<

・京都国立博物館. 『japan蒔絵 : 宮殿を飾る東洋の燦めき』. 読売新聞大阪本社, 2008.
・高田時雄. 「国際東洋学者会議について」. 『国際東洋学者会議会議録』復刻版別冊付録. Edition Synapse, 1998.
・Noboru Koyama. 「How many books were imported into Europe from Japan?」. 『EAJRS Newsletter』. 1990, 1, p.4-8.
・郡司良夫. 「北米における東アジア図書館」. 『大学図書館研究』. 1991, 37, p.1-8.
・鈴木淳, マクヴェイ山田久仁子. 『ハーバード燕京図書館の日本古典籍』. 八木書店, 2008.
・鈴木貞美, 『『Japan To-day』研究』. 作品社, 2011.
・The Gordon W. Prange Collection. University Libraries, University of Maryland.
 http://www.lib.umd.edu/prange/index.jsp.

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2012年04月20日

表紙について

 JBScover.jpg


 すごくいい表紙が手に入って、正直わたしこのサンプル見たときに、もう中身が多少へちゃくてもかまへんわ、て思ってしまいました(笑)。

 このイラストはもともと、アメリカのMike Maihackさんという方が「DitDat」というwebサイトのために描いたものだそうです。

http://mikemaihack.deviantart.com/art/Steampunk-Librarian-187279436?q=gallery%3Amikemaihack%2F14357738&qo=54
http://mikemaihack.deviantart.com/
http://ditdat.com/
 
 「Steampunk Librarian」というタイトルがついています。”時代SF的ライブラリアン”といった感じでしょうか。本棚の時代感と色合い、だけでなく、ライブラリアンの見た目やたたずまいが東洋っぽくもあれば西洋っぽくもありという感じが、本書のイメージにぴったりで、ひとめぼれしました。(最初、うちの円形閲覧室の写真を使ってもらおうかなとか思っていたんですが、即取り下げで、本文挿画に落としましたという。)

 このイラストは、編集の方がPinterestの中の、図書館と図書館員をテーマにした写真まとめ(“We Also Love our Librarians”)から見つけてきたものです。
 http://pinterest.com/bookexpoamerica/we-also-love-our-librarians/
 このPinterestのURLをその方が知ったのは、とある牝鹿さんのtweetからだということです。
 情報が流れ(flow)、つながる(connect)ことで得られた幸い、だと思ってます。

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〈各章紹介〉第3章:プロフェッショナルたちの流儀--ライブラリアンとコミュニティ


第3章:プロフェッショナルたちの流儀 -- ライブラリアンとコミュニティ

●概要
 図書館は単館・単独ではサービスも社会的役割もまっとうできません。図書館同士、機関同士、ライブラリアン同士が連携・協力してはじめて成り立ちます。特に「日本研究」は世界の学問全体の中では決して主流とは言えずサイズの小さい部類に入りますから、なおさら、横のつながりなしにサバイバルは難しいと言えるのではないでしょうか。
 第3章では、日本研究専門のライブラリアン・その他専門家たちが、組織や国・地域の枠を越えて連携している例として、いくつかの代表的な”コミュニティ”をご紹介します。北米の日本研究資料図書館同士での連携組織であるNCC(北米日本研究資料調整協議会)、東アジア研究のライブラリアン組織・CEAL(東アジア図書館協議会)、ヨーロッパのEAJRS(日本資料専門家欧州協会)の3つです。
 このようなコミュニティ・連携組織を組むことによって、ひとつには、地理的に離ればなれで個々に孤立しがちな各地の日本研究ライブラリアン・専門家たちが互いに協力し情報共有しあう場を築くことができます。また、一丸となれば大きな問題に取り組みやすいですし、効率的でもあるでしょう。
 さらにいえば、大学内に日本研究の研究者・学生・その他日本資料を求めるユーザがいても、日本専門のライブラリアンが学内にいない、というところはたくさんあります。ライブラリアンのコミュニティが組まれていれば、学内に専門のライブラリアンがいない大学のユーザにも、日本資料やサービスを届けることが可能になる、という効果もあります。


●小見出し
1)North American Coordinating Council on Japanese Library Resources (NCC)
NCCと北米のライブラリアンたち
resource sharingの仕組み -- MVS
ジャパン・イメージ -- IUP
研修
年次集会
2)Council on East Asian Libraries (CEAL)
東アジア図書館協議会 -- CEAL
日本資料委員会 -- CJM
3)European Association of Japanese Resource Specialists (EAJRS)
EAJRSの歴史と活動
年次集会


●参考文献
・North American Coordinating Council on Japanese Library Resources.
http://guides.nccjapan.org/.
・NCC Newsletters. 1993-.
http://guides.nccjapan.org/content.php?pid=246207.
・Journal of East Asian Libraries. 1963-.
https://ojs.lib.byu.edu/spc/index.php/JEAL/.
>> Journal of East Asian Librariesはのちに紹介するCEAL発行の雑誌です。過去のNCCミーティングの記録などがこの雑誌に掲載されています。<<
・マルラ俊江. 「北米日本研究資料調整協議会(NCC)の活動概要」. 『大学図書館研究』. 2005, 73, p.34-44.
>>NCC結成から2005年までの経緯や、各委員会の活動の詳細がわかる基本的な文献です。<<
・Sharon Domier. 「国際社会へ向けた日本の図書館サービスの時代の到来 : 北米の視点から」. 『大学図書館研究』. 2004, 70, p.42-54.
・野口幸生. 「最近の情報環境とNCCの動向について」. 『カレントアウェアネス』. 2002, CA1462.
http://current.ndl.go.jp/ca1462.
・『海外日本研究者の画像利用事情 : 東京シンポジウムの記録』. 北米日本研究資料調整協議会, 2009.
>>2008年に東京で行なわれたシンポジウム「ジャパン・イメージ : 海外日本研究のための画像利用事情」の会議録です。画像利用に関する話題に加え、2008年時点での北米での日本研究事情もわかります。<<
・NCC2011.
http://www.ustream.tv/channel/ncc2011.
>>2011年4月1日に行なわれたNCCのセッション 「Japanese E-books: New Research Horizons」(AAS Roundtable Sponsored by NCC)のUstreamアーカイブです。日本製電子書籍の海外展開についてどのようなことが論点になっているのかがわかります。<<
・Yoshino Arimoto, Tomomi Mitsuishi, Haruna Hirayama. 「Japanese e-book, social media and social reading」.
http://www.slideshare.net/arg_editor/ncc201120110330.

・The Council on East Asian Libraries.
http://www.eastasianlib.org/.
・Eugen W. Wu. 「Organizing for East Asian studies in the United States : the origins of the Council on East Asian Libraries, Association for Asian Studies」. 『Journal of East Asian Libraries』. 1996, 110, p.1-14.
 http://www.eastasianlib.org/CEAL/OriginsofCEAL.pdf.
>>CEAL結成前後の歴史的経緯などが詳細にわかります。<<
・Committee on Japanese Materials. The Council on East Asian Libraries.
http://www.eastasianlib.org/cjm/index.html.
・「Descriptive cataloging guidelines for Pre-Meiji Japanese books」(Enlarged and revised edition 2010. Draft (February 15, 2010)). Committee on Japanese Materials, Council on East Asian Libraries.
http://www.eastasianlib.org/cjm/JapaneseRareBooks-CatalogingGuidelines_Rev2010-Draft0215.doc.
・北米日本古典籍所蔵機関ディレクトリ. 国文学研究資料館.
http://base1.nijl.ac.jp/~overseas/index-j.html.

・European Association of Japanese Resource Specialists.
http://eajrs.net/.
>>EAJRSのwebサイトでは、近年の年次集会で発表されたプレゼンテーションのハンドアウト・スライドファイルなどの多くを見ることができます。<<
・EAJRS Newsletter. 1990-.
・『Japanese Information Resources : papers of the Budapest Conference 5-8 September 1990』. European Association of japanese Resource Specialists. 1992.
>>EAJRS第1回年次集会(1990年・ブダペスト)の会議録です。<<
・ペーター・パンツァー. 「中央における日本関係図書館の状況 : 過去と現在 : EAJRSの活動と目標に重点を置いて」. 『研究と資料と情報を結ぶ : 「日本研究学術資料情報の利用整備に関する国際会議」の記録』. 国際交流基金. 2002, p.38-50.
・松江万里子. 「EAJRS回顧と展望 : 今後への指標として」. 『カレントアウェアネス』. 2002, CA1463.
http://current.ndl.go.jp/ca1463.
・江上敏哲. 「第22回日本資料専門家欧州協会(EAJRS)年次大会<報告>」. 『カレントアウェアネス-E』. 2011, E1221.
http://current.ndl.go.jp/e1221.

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2012年04月18日

〈各章紹介〉第2章:海外の日本図書館を巡る -- 事例紹介


第2章:海外の日本図書館を巡る -- 事例紹介

●概要
 第2章では、実際にいくつかの日本図書館を訪問し、見たり聞いたり調べたりしたことを書き綴っていく、という事例紹介です。
 紹介するのは、アメリカから2館。ヨーロッパ代表・フランスから2館。アジア代表・台湾から3館。という感じです。どんな大学・研究所にどんな図書館があるのか、そこで日本資料はどのように扱われているのか、利用されているのか。歴史、統計、コレクション、書架配置、デジタル資料、サービス、ユーザのニーズやライブラリアンの活動などといったものごとを、具体的に理解していただけるようにしてみました。
 例えば、UCLAでは日系移民のアーカイブ資料の整理とその活用について。また、どのような学生・研究者が日本資料を探そうとしているかについて。ピッツバーグ大学では、旧三井銀行が持っていた日本経済に関する膨大なコレクションについて。フランスでは、図書館同士の連携やネットワーク、新しくできた地域研究資料のための共同図書館やその総合目録について。台湾では、日本語の本の配置・配架方法や、台湾総督府時代の日本資料とその電子化について。などなど、さまざまな話題を紹介しています。


●小見出し
・1.University of California, Los Angeles (UCLA)
 UCLAとその図書館/東アジア図書館と日本資料/古典籍・マイクロフィルム・移民資料―特殊コレクション/e-resource/日本はどう学ばれているか―研究者と学生たち/デジタル化とコラボレーション―日本への注文
・2.University of Pittsburg
 University of Pittsburgとその図書館/東アジア図書館とその蔵書/何をどう集めるか―日本資料の収集/棚にどう並べるか―日本資料の配架/日本経済史が凝縮― 三井コレクション/e-resource/日本を教える―情報サービスとインストラクション/グローバル化する日本研究
・3.フランスの日本図書館
 École Française d'Extrême-Orient (EFEO)/EFEOの図書館と日本資料/目録データベースとSUDOC/Bibliothèque Universitaire des Langues et Civilisations (BULAC)/Bibliothèque Interuniversitaire des Langues Orientales (BIULO)/ひろがるネットワークの輪
・4.台湾の日本図書館
 台湾の日本研究・日本資料/国立台湾大学図書館/中央研究院・人文社会科学連合図書館/国立中央図書館台湾分館


●参考文献
・Richard C. Rudolph East Asian Library, UCLA Library.
http://www.library.ucla.edu/libraries/EastAsian/.
・「UCLA Librarian Progress Reports」. UCLA Library.
 http://www.library.ucla.edu/about/3542.cfm.
・Council on East Asian Libraries Statistics.
http://lib.ku.edu/ceal/stat/.
・マルラ俊江. 「海外の大学図書館からみた日本研究と学術デジタルコミュニケーションの課題」. 『日本語・日本学研究』. 2011, 1, p.166-188.
 http://hdl.handle.net/10108/64572.
 >>第2章で紹介したUCLAのライブラリアン・マルラ俊江さんによる論文。北米における日本研究、及びそれを支えるべき日本製・日本語のe-resourceがどのような現状にあるか、どのような課題を抱えているかが詳細に述べられています。統計、事例、注に挙げられた参考文献も豊富で、とてもわかりやすい報告です。<<
・三木身保子. 「UCLAにおける日本語資料と情報提供 : 日本の国際協力を求めて」. 『図書館雑誌』. 1998.1, 92(1), p.48-50.
・鈴木淳, 三木身保子. 『カリフォルニア大学ロサンゼルス校所蔵日本古典籍目録』. 刀水書房, 2000.
・「Directory of North American Collections of Old and Rare Japanese Books, Other Print Materials, and Manuscripts (Revised, January 2008)」. 『Committee on Japanese Materials, Council on East Asian Libraries』.
 http://www.eastasianlib.org/cjm/rarebooks.pdf.
・「UCLAの日本語蔵書史」. 『書物の日米関係 : リテラシー史に向けて』. 新陽社. 2007, p.291-295.
 >>UCLAの日本語資料コレクションがどのように形成されていったか、1950−60年代当時の歴史的経緯がわかります。<<
・「Finding Aid for the Japanese American Research Project collection of material about Japanese in the United States (Yuji Ichioka papers), 1893-1973」. Online Archive of California.
 http://www.oac.cdlib.org/findaid/ark:/13030/tf6d5nb3z6.

・East Asian Library, University of Pittsburgh.
 http://www.library.pitt.edu/libraries/eal/index.htm.
・University of Pittsburgh fact book 2011.
http://www.ir.pitt.edu/factbook/documents/fb11.pdf.
・Council on East Asian Libraries Statistics.
http://lib.ku.edu/ceal/stat/.
・グッド長橋広行. 「米国における日本研究の現状 : ピッツバーグ大学の現場から」. 『国立国会図書館月報』. 2008.5, 566, p.14-18.
 http://www.ndl.go.jp/jp/publication/geppo/pdf/geppo0805.pdf.
 >>ピッツバーグ大学における日本研究や、日本資料の利用の実際が具体的に紹介されています。1大学の事例としてだけでなく、北米における現状の事例としても理解を深めることができる記事です。<<
・NIHON KENKYU at PITT.
http://nihonkenkyu.wordpress.com/.
・久保山健. 「ピッツバーグ大学図書館における約3ヶ月の滞在型研修」. 『大学図書館問題研究会誌』. 2009, 32, p.1-12.

・École Française d'Extrême-Orient.
http://www.efeo.fr/.
・「Rapport sur l’activite de l’École française d'Extrême-Orient : Année universitaire 2009-2010」. École Française d'Extrême-Orient.
http://www.efeo.fr/uploads/docs/pdf_presentation/RapportActivites2010.pdf.
・BULAC.
www.bulac.fr/.
・『パリ東洋語図書館蔵日本書籍目録 : 1912年以前』. 国文学研究資料館, 2006.
・Antony Boussemart. 「Bulac : a new catalogue for a new library」. (EAJRS 2005にて発表).
・馬場郁. 「フランスのOpacにおける日本語図書」. 『日仏図書館情報研究』. 2009, 35, p.7-14.
 >>フランスの大学・研究機関のOPACでの日本語図書の取り扱いについて、経緯と現状・展望が概観できます。BULAC・EFEOについても具体的に報告されています。<<
・杉田千里. 「フランス高等教育機関の図書館事情2)日本学研究図書館」. 『情報管理』. 2009.11, 52(8), p.504-507.
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/52/8/52_504/_article/-char/ja
・江上敏哲. 「フランスの日本資料図書館における活動・実態調査報告」. 『大学図書館研究』. 2010, 90, p.46-60.

・徐興慶. 「現代の台湾における日本研究」. 『天理大学学報』. 1999, 50(2), p.129-150.
>>台湾の大学・研究機関ごとの日本研究の概要・経緯、日本資料コレクションの概要、研究の動向などをまとめたものです。<<
・川島真. 『台湾における日本研究』. 交流協会, 2003.
>>論文篇と目録篇から成る報告書です。論文篇では台湾の日本研究を概説し、かつ戦後の修士論文・博士論文を分析することで日本研究の動向・推移を考察しています。目録篇は1956-2001発表の論文を収録しています。そのデータベースは交流協会・日台交流センターのwebサイトで公開されています。<<
・『台湾からみる日本 : 進化する国際コラボレーション』. 勉誠出版, 2004, (アジア遊学, 69).
>>「台湾からみる日本の古典」「台湾からみる日本の近現代」「台湾からみる日本語教育」の3部から成ります。文学・古典研究の占める割合が多いですが、近現代研究・日本語教育についてもその概略を理解することができます。<<
・徐興慶. 「台湾における「日本学」の現状と課題」. 『上智大学国文学論集』. 2010, 43, p.17-30.
 http://repository.cc.sophia.ac.jp/dspace/handle/123456789/19441.
・「日本語教育国別情報 2010年度 台湾」. 国際交流基金.
http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/country/2010/taiwan.html.

・国立台湾大学図書館.
http://www.lib.ntu.edu.tw/.
・行政院国科会人文処日語研究資源建置計画.
 http://jpndbs.lib.ntu.edu.tw/DB/search.jsp.
・須田悦生編. 『台湾大学研究図書館蔵日本古典籍目録』. 静岡県立静岡女子短期大学国語学国文学研究室, 1984. (静岡女子短期大学・国語国文学資料集, 3). 
・松原孝俊研究代表. 『台湾大学所蔵日本古典籍調査』. 2002.
・徐興慶. 「台湾大学図書館所蔵の日本研究文献から見た日本殖民史」. (EAJRS 2009にて発表).
 http://eajrs.net/files-eajrs/NationalTaiwanUniversityLibrary.pdf.
・中央研究院人文社会科学連合図書館.
http://hslib.sinica.edu.tw/.
・崔燕慧. 「Japanese and Korean Collections in Taiwan : the case of Academia Sinica」. (CEAL2011にて発表).
 http://www.eastasianlib.org/ccm/Program2011Files/3_Tsui_Taiwan.ppt.
・国立中央図書館台湾分館.
 http://www.ntl.edu.tw/.
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〈Q&A〉いつ出る本なの?

Q:いつ出る本なの?

A:たぶん5月末ころです。

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〈各章紹介〉第1章:日本語の本は誰が読むか、どこにあるか -- 総論


第1章:日本語の本は誰が読むか、どこにあるか -- 総論

●概要
 海外の日本図書館や、日本資料や、そのユーザ、日本研究の研究者・学生について、その全体的なイメージを把握してもらうため、序章よりももうちょっとわかりやすいように説明してみました、という章です。
 まずは、とあるアメリカの大学を事例として、図書館・資料・ユーザ・ライブラリアンの様子を紹介します。具体例を見ていただいたあとで、全体像、世界にはどれだけの機関があるかとか、どんな種類の図書館があるかのバリエーションとか、そういったことを描いてみました。
 それをふまえて、じゃあそういった図書館やユーザのことをどう理解し、考えていったらいいだろうか、そもそもそれを理解し考えるとどうなるか、何がわかるか、何がかわるか、といったようなことについて、自分の姿勢というか視点のようなものを示してみます。
 ざっと流し読みなさりたいんであれば、まずはこの章だけでもいいかな、とはなんとなく思います。

●小見出し
UMass Amherstの日本資料・図書館・ユーザ
世界に学ばれるニッポン
パリ・日本図書館のさまざま
良き“日本理解者”のために
海外からのリクエストはあなたにも届く
“日本リテラシー”がない人も、日本資料を求めている

●参考文献
・University of Massachusetts Amherst, East Asian Studies Collection.
http://www.library.umass.edu/collections/east-asian-collection/.
・Sharon Domier. 「北米の観点から見た日本の大学図書館の国際的諸活動」. 『図書館雑誌』. 2010.10, 104(10), p.670-671.
・Sharon Domier. 「国際社会へ向けた日本の図書館サービスの時代の到来 : 北米の視点から」. 『大学図書館研究』. 2004, 70, p.42-54.
 >>上記2点とも、Domierさんによる記事です。北米の日本図書館・ライブラリアンやそのユーザの過去20年ほどの経緯、活動、どのような問題点を抱えてきたか、日本の資料・情報・図書館に対してどのようなことを必要としているか、などが述べられています。<<
・「日本研究機関データベース」. 国際日本文化研究センター.
http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/kikan.html.
・「Council on East Asian Library Statistics」.
Council on East Asian Libraries. http://lib.ku.edu/ceal/stat/.
・杉田千里. 「フランス高等教育機関の図書館事情 2)日本学研究図書館」. 『情報管理』. 2009.11, 52(8), p.504-507.
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/52/8/52_504/_article/-char/ja.
・江上敏哲. 「フランスの日本資料図書館における活動・実態調査報告」. 『大学図書館研究』. 2010, 90, p.46-60.
・「日本語教育国別情報 2010年度 フランス」. 国際交流基金.
http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/country/2010/france.html.
・日仏図書館情報学会編. 『フランス図書館の伝統と情報メディアの革新』. 勉誠出版, 2011.

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〈各章紹介〉序章:日本人の知らない日本図書館


序章:日本人の知らない日本図書館

●概要
 序章ですから「まえがき」のようなもので、本書が、何をテーマに、どういうことを描こうとしている本なのか、ということをざっくりと説明する章です。「ごあいさつ」でもあります。
 まずは、とあるアメリカの日本図書館やそのユーザ・資料・ライブラリアンの様子を、オープニングとしてご紹介した上で、本書では端的に言えば何を扱っているのか、その全体像をざっくりと把握するためのイラストマップのようなものをお示しする、といった感じになります。
 本書の概要を述べてる章なので、その章のそのまた概要を言うとしたら、だいたいこの程度です。

●小見出し
Tanizaki Jun'ichiroの「The Thief」を探す
本書では
「海外の日本図書館」をとりまく世界
posted by jbsblog at 08:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月12日

『本棚の中のニッポン』とはどんな本か

 
 近刊予定の著書『本棚の中のニッポン : 海外の日本図書館と日本研究』は、どんな本か、ということですが。

 より端的には、「目次」をざっと眺めていただければなんとなくわかるんじゃないかな、と思います。
 けど、もうちょっと詳しく、自分の考えていることを含めて言うと、↓こんな感じです。

 北米にしろヨーロッパにしろアジアにしろ、海外のあちこちには、日本について研究している研究者が大勢います。また、日本について学んでいる学生が大勢います。内容的には日本の文学・歴史・芸術だったり、政治・国際関係・社会であったり、経済・ビジネス・産業・技術であったりするわけですが、大きくひっくるめて「日本研究」というふうに言います。
 そして、そういう研究者なり学生なり場合によっては一般の人なりに、日本語の本や情報(あるいは日本語でなくても日本に関する本や情報)を提供している図書館もたくさんあります。つまり、海外の「日本研究」をサポートしている「日本図書館」です。

 本書では、海外の日本図書館やそのライブラリアンについて、
 ・資料・蔵書の様子
 ・資料・情報の流通・提供・利用の様子
 ・図書館・ライブラリアンによるサービス・サポートや連携・協力活動の様子
 ・課題・問題点
 を紹介します。

 そのうえで、
 ・海外の日本研究者・学生や図書館・ライブラリアンは、どのようなニーズを持っているか
 ・日本側では、そのニーズをどのように把握し、どのように応えればよいか
 ・日本資料・日本情報を、日本から海外へ効率的・効果的に提供・発信するには、どうすればよいか
 といったことを考えてみます。

 先ほど、日本研究者や学生が大勢、というふうに書きましたけど、しかし実際には、特にバブル経済終焉以降、海外における日本研究の勢い・存在感が低下しつつあるのではないか、という流れが懸念されています。その一方で、じゃあ海外からの日本資料・情報へのアクセスはどうかというと、いろいろなところで障害や困難があったりハードルが高かったり、という現状があります。
 それはよろしくない。海外の人びとが(資料・情報的に)日本に何を求めているのか、そのユーザのニーズや課題・問題点を、日本の我々がちゃんと把握して、応えていく。日本の資料・情報を効率的・効果的に提供・発信していく。それができるかどうかは、まわりまわって最終的には、ほかでもない日本の我々にはねかえってくる問題だと思います。

 わたしは図書館業界に身を置いている感じの立場なので、この問題を図書館の視点から考えているわけなんですけど、しかしこれは図書館に限った話ではもちろんなくって、国内のあらゆる地域・種類の文書館・博物館・美術館、大学・研究所やその研究者、その他の学術機関・公的機関・官公庁、出版社関係、書店関係、web関係、情報関係企業、その他、資料・情報にかかわるどのような業種であれどのような立場であれ、考えていただきたい問題だと思います。
 海外から、日本の資料・情報に対して、多種多様なニーズがあり、リクエストが届き得る、ということ。そのことについて、多くの方に関心と意識を持っていただければ、と。ご理解とご協力をいただいて、より多くの方に“援軍”となっていただければ、と。

 まあ、だいぶ大風呂敷であることはわたし自身もすごい自覚してますし、冷汗・脂汗・胃痛た含みではあるんですけど、でも気持ち的にはそういうことを考えながら、自分なりになんとかかたちにしてみた、というのが、この『本棚の中のニッポン : 海外の日本図書館と日本研究』という本です。


posted by jbsblog at 22:57| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『本棚の中のニッポン』の目次(予定)

目次(予定)

 序. 日本人の知らない日本図書館

第1部
 1. 日本語の本は誰が読むか、どこにあるか -- 総論
 2. 海外の日本図書館を巡る -- 事例紹介
 3. プロフェッショナルたちの流儀 -- ライブラリアンとコミュニティ
 4. 黄金の国からクール・ジャパンへ -- 日本研究・資料の歴史
 5. Nippon Invisible -- 日本研究・資料の現状

第2部
 6. 収集されるニッポン -- 収書・選書
 7. 検索可能なニッポン -- 書誌・目録
 8. お取り寄せされるニッポン -- ILL
 9. アクセスされるニッポン -- e-resource
 10. クールなニッポン -- マンガ・アニメ

第3部
 11. 日本からのサポート -- 専門機関 ほか
 12. 情報発信を考えるヒント

付録. 海外の日本研究・日本図書館についてのパスファインダー

posted by jbsblog at 22:55| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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